英語の授業で平和教育を - Toward Peaceable English Class

参加型の授業づくり・これから/フィリピンへの英語留学

2013年11月23日午後1時30分から4時50分

 

最初に参加者で自己紹介として関心のあることをだしあった。

K:高校で英語を教えている。学んだことを協同で深め、発表させるようにしている。

K:UFPFF 国際平和映像祭 2013をきっかけに学生にとりくませたりした。ほか人形劇や英語落語にも関心がある。学生が自分の声を発信することをさせたい。

O:塾などで英語を教えている。教科書にも社会的問題を扱うレッスンはあるが、ほんとうに生徒につたわっているのか疑問だと思う。

H:今年の9月にフィリピンの英語学校を訪ね、フィリピンでの英語留学の展開の可能性とインパクトについて調べている。ノンネィティブの指導者に教わることによる言語意識の変化にも関心がある。

A:日系ブラジル人コミュニティの母語とアイデンティティを卒論のテーマにした。大学院に進学してさらに研究を深めたいが、将来は英語教師を目指している。

A: 参加型学習に関心をもっている。人権や平和をテーマにしたレッスンにおいて、どのように意見をひきだし、やりとりをするかを考えている。

 ぐるりと話をしながら、2ヶ月に一度、四谷のカフェで英語での交流を目的におこなうイベントがあるとのこと(次回は12月6日午後7時より[チラシ

http://ja.scribd.com/doc/186601981/English-Cafe-Flyer-revised-pdf

また、外国での言語意識についても引き続き話題となった。

 カフェでは英語話者と英語での交流を期待する日本の人とのニーズをどう合わせるか課題がでてきていること。

 海外に滞在する日本人家庭では、日本人の母親は日本語で話しかけるのに、日本にいるフィリピンからの母親は、母語ではなく「たどたどしい」日本語で話しかけているのを見たことがある。このちがいは何か。フィリピンには80ちかい言語がある。国語(フィリピノ語)となっているタガログ語ベースのフィリピノ語は公用語として学校では使われるもののルソン島南部のタガログ語圏以外では話されてはいない。家庭・地域ではローカルの言語、学校ではフィリピノ語と英語(社会科以外は英語で教えられている。私学はすべて英語というところもある)という多様な言語状況がフィリピン人の言語意識に関係するのではないかとも思われる。

 ずいぶん前の会合で、参加者から出されたこれまで扱ったことのあるテーマを並べた図[リンク]が示された。そうしたテーマに関する教材を学んで、どう考えを深め、伝え合うことができるか、ワークシートや項目をカード化するなどの工夫が必要である。

 今回、消せる紙:http://www.obun.jp/original/keserushi_white/

を用意した。ホワイトボード用のペンで書き、消せるA3のシートでキーワードを書きだし掲示した。コーワライティングシートの紹介もあった。

 http://www.kowacorp.jp/media/writingsheet.html

 多様な意見をひきだす教材、いわばディレンマのあるものがよい。在来種を保全しようという Seed Bank についての教材で、多様性について考えさせたとのこと。たとえば、GM(遺伝子組み換え)についてモンサント社関係者や政府、市民団体、科学者といったロールカードをつくって模擬記者会見をするような手だてはどうか。国内でもさまざまなネットワークがあり、「よみがえりのレシピ」という映画もある。

   D.セルビーは、グローバル教育を提唱し、現在は、Sustainability Frontiersという団体で、ユネスコとともに気候変動教育にとりくんでいる。

   http://www.sustainabilityfrontiers.org/

  WWFのサイトへのリンクがあり、そこの世界各地からのリポートを教材化することもできよう。

 ただ、生徒の英語力の問題もあるので、たとえば、メディアリテラシーに関する教材で、ダイエットに関するマスコミの影響や暴力シーンのあるテレビは犯罪を増加させるか、させないかについて、用意された応答のいずれかを選ぶようにさせた教材の提示もされた。今後、各自がこれまでとりくんだ教材や、今後とりくみたい教材でどのようなワークシートをつくるか、皆で考案するようなワークショップをしたらどうか。

 一つの事例として、D.セルビーの In the Global Classroom のなかから健康に関する項目をカード化したしたものをランキングする活動を2つのグループで体験してみた。

 最近、ルカサワークショップに参加した。人は手で考えるという。


 http://www.houseofafricanart.jp/en/japan/workshop/detail_209.html

   http://spacepeace.exblog.jp/

 今回のもう一つのテーマであるフリピンでの英語留学について、羽井佐さんからお話をうかがう前に、AGEnTがやってきたフィリピン教育訪問のウエッブサイトと経過が紹介した。http://pheng.jimdo.com/

   フィリピンへは、英語を学ぶという目的ではなく国際関係や国際開発関連の学部や、教会やNGOなどによるスタディツアーがなされてきた。しかし、10年前でも韓国からフィリピンで英語を勉強する学生があったが、ずいぶん増えた。さらに、近年、日本からのマーケット開拓がなされているとのこと。

 羽井佐さんは、英語留学をさせたいが、費用がかかるので、なかなか実現できない学生がいるのにたいして、フィリピンならば可能ではないかと思いたったいう。フィリピン留学普及協会 http://www.psaa.jp/ の説明会に参加し情報収集をし、現地で学校を訪問したり、学生さんへのインタビューをおこなっている。

 フィリピンは、産業化に難があり、経済発展へのインフラが整っていない、したがって、出稼ぎによる本国への送金が国家予算の1割を占めるように、人的資源が重要となっている。現在は、コールセンターがフィリピンに拠点を移し、雇用をつくりだしている。英語留学もフィリピン観光省が音頭をとっている。

 http://www.premium-philippines.com/info/study.html

 特徴としては、個人レッスンが可能であり、安価であることがあげられる。『「超」格安英語留学』(太田英基)ではフィリピンで英語を学び、世界旅行に旅立ったことが書かれている。

 ただし、英語学校のサンプルビデオにあるように文法を教えるクラスもあり、疑問も残る。フィリピンでの語学留学への理由に、英米留学では英米文化にもふれたいというあこがれがあるのにたいして、フィリピンの文化を知るというのはさておき、英語を学ぶことに特化している。はっきり英語を学んでどうするかという次の目的をもっているとのこと。英語ネイティブに劣等感をもつが、フィリピン人はホスピタリティもあり、緊張せずにすむとか、もともと英語力に難があるので、安価であれば、フィリピン英語がどうこういうレベルではないとか、フィリピン英語留学を選ぶ理由も一部紹介いただいた。

 飯野厚(法政大学)さんは、Tarlacの語学学校へ学生を引率された経験があり、今回、お招きしたがかなわなかった。羽井佐さんから韓国人経営のところや、日本人向のものなど、いくつか学校を紹介いただいた。

   http://cpils.jp/

 http://www.cebu21.jp/bbs/board.php?board=cia&indextype=1

 プールやジムのあるところや、一週間単位での「スパルタ、セミスパルタ」コースをはじめ、宿泊は掃除・洗濯サービスもついている。

 せっかくフィリピンに行くのであれば、フィリピンの社会的コンテキストにふれる機会がないのはもったいない。もっとも志望の動機が、「英語をきたえる」ことにあるのだから当然だが、コミュニティへのアウトリーチとかがあってもよいとの指摘に、そうしたボランティアプログラムもある学校もあるとのことであった。

 http://www.bayside-english.com/

 フィリピンでは民衆教育の分野で参加型教育が参加であり、フィリピン演劇教育教会(PETA)は、トレーニングのノウハウも持っているが、語学学校とは別な社会的文脈であろう。http://petatheater.com/ 

 PETAのセミナーについて塩沢さんが報告している。

   http://pheng.jimdo.com/report/peta-shiozawa/

 セブは例外的であるが、フィリピンにたいして一般にネガティブなイメージがあり、他の東南アジアのビーチリゾートのようにフィリピンへの観光は成功をしていない。これまでの世代には英語は英米でという固定観念があったが、今後どうか。フィリピン人英語教師は日本人をどう見ているかなども話題となった。